友人のインターンを聞いた
今回はちょっと自分の話から離れて、私の優秀な友人が経験したインターンについて書いた。けっこうハイレベルな話なので、高みを目指す方にはぜひ見てもらいたい。
以下は友人が書いた文であることをご了承ください。
EMBO (European Molecular Biology Organization) Workshopは生命科学に関連するさまざまな主題について1年を通して開催されている. 今回私が参加したワークショップは“Protein synthesis and translational control”をテーマとし, ドイツのハイデルベルグ市にあるEMBL Heidelbergにおいて, 9月4日から9月7日の日程で開催された. このテーマのワークショップは毎年この時期に開催され, EMBL Heidelbergとニューヨーク州ロングアイランドにあるCold Spring Harbor Laboratoryで交互に開催される. 参加者は28カ国450名(合衆国, ドイツ, ベルギー, オーストリア, フランス, ロシア連邦, イスラエル, スペイン, オランダ, イギリス, アイルランド, チリ, デンマーク, スウェーデン, チェコ, スイス, イタリア, カナダ, インド, ポーランド, オーストラリア, メキシコ, エストニア, トルコ, 中国, 台湾, 韓国, 日本)であった.
EMBO Workshop : Protein Synthesis and Translational Control 2019は次の6つのセッションで構成されていた.
Session 1: Ribosome, elongation, termination and
quality control
Session 2: Metabolism and disease
Session 3: Translation initiation
Session 4: RNP (ribonucleoprotein) complexes
Session 5: Systems approaches and methods
Session 6: Interconnections and turnover
プログラムは4日間の午前と午後に45~60分の基調講演3題と15分の口頭発表63題が配置され, 2~3日目の夕食後と4日目の昼食後にポスターセッション(245題)が組まれていた. ポスターは筒抜けのホールを囲む螺旋状の通路の外側に設置することになっており, 通路の所々にへリックス間を結ぶ橋が架かっていた(右の写真). 初日と最終日の最後にはバンド演奏によるライブ, 中日には観光のための自由時間が半日分用意されていた.
私自身は, “Genome-wide analysis of nitrogen-dependent translational regulation in sorghum”と題して, 窒素欠乏に応答したソルガムの未展開葉での転写, 翻訳, メタボロームの関係についてポスター発表を行った。作物の収量に大きく寄与する窒素をターゲットに植物で翻訳の網羅解析が行われた報告はなく, 当然, 翻訳とメタボロームの関係性に着目した多元的な解析は植物で行われていない。今回の参加者の中では植物を研究している人は私を含め10人未満に留まり, 酵母や動物細胞を扱っている研究者が大半であった. そのため, 議論した植物研究者から発表内容の妥当性や今後の展望などに関するフィードバックを貰えただけでなく, 植物分野以外の研究者との議論から植物特有の翻訳の面白さを新たに認識することができた. 今回の経験から翻訳分野における植物研究のプレゼンスの向上に貢献したいという意気が高まった.
今回は翻訳に特化した会議であったこともあり, 翻訳の網羅解析手法に関する知見が多かった. 中でも, 最少で10個の細胞からでも行えるようになったという報告に私は驚嘆した. 近年のRNA-seqの普及と同様に, 今後の技術発展に伴い翻訳の解析も盛んに行われることで, 生物の環境応答システムがより解明されることを私は期待したい.

中日の自由時間には参加者達の多くは循環バスに乗ってハイデルベルク旧市街を観光した. ここは幸いにも第二次世界大戦の爆撃を免れ, 今なお古都の雰囲気が残るドイツでは数少ない街の一つである.
旧市街, ネッカー川とそこに架かるカール・テオドール橋を見渡せるハイデルベルク城では増築・改築が繰り返し行われてきた。ゴシック・ルネッサンス・バロックなど時代ごとに建物の様式が異なり、三十年戦争や大同盟戦争の痕跡が残っているのが特徴だ.

旧市街から見える廃城は中世の佇まいを残すノスタルジックな街並みと見事に調和しており, 私にとって非常に印象的な光景だった. 皆さんも一度訪れてみてはどうだろう
